「頼んでもない歯を治療されて、さらに痛みが出て最悪」という人が分かっていない本質

荒井歯科医院 歯科コラム

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「頼んでもない歯を治療されて、さらに痛みが出て最悪」という人が分かっていない本質

SNSなどの書き込みで、

「頼んでもない歯を治療されて、さらに痛みが出て最悪」

のようなものをよく見かけます。

これに対する歯医者側の言い分を書きます。

 

1.まず「頼んでもない歯を治療されて」のくだりです。

もちろん虫歯があったとしても、そのことをきちんと説明し同意の上で治療をしないと下手したら「傷害罪」です。

でも、虫歯は一旦できてしまえば治療しなければ自然治癒することはありません。そのときに治療をしておかなければ必ず進行し、いずれ痛みが出ます。

「頼んでもない歯を治療されて」と書き込んでいる人はきっと痛みが出た時に

「あのとき治療してくれていれば痛みが出なかったのに。ちゃんと治療しろよ」

とおっしゃるのでしょう。

歯医者側としたら「頼んでもないのに」ではなくて「虫歯を見つけてくれてありがとう」と思っていただけると幸いです。

 

2.次に「痛みが出て」のくだりです。

歯の痛みが出る理由はいろいろありますが、その中の1つとして虫歯が深かったことが考えられます。

虫歯を削るのに使うドリル(タービン・コントラといいます)は、削る時に摩擦熱が発生します。そのため水を出して冷やしながら削っているわけです。

虫歯が深すぎるとこの摩擦熱が歯の神経に伝わりやすく、神経が炎症を起こし痛みが出ます。痛みがあまりに強い時は神経を取る必要があります。

じゃあ、虫歯が深かったら全部神経を取っちゃえばいいんじゃないの?というわけにはいきません。神経を取ると歯の寿命は極端に短くなります。

歯を削っている時は麻酔をしていることが多いため、麻酔が切れたあとに痛みが出るかどうかはその場では分かりません。

ですから、なるべく神経を残したい歯医者は痛みが出ないことに賭けて、神経を取らずに処置を終了するわけです。その結果、治療後に痛みが出てしまうことは普通にあります。

この歯医者さんをあなたはヤブ医者と呼びますか?

 

もちろん、患者さんに痛みを感じさせたくないという思いから、虫歯が深ければ神経を取ってしまう歯医者さんはいるでしょう。それはそれで「思い」がありますからいいことだと思います。

歯医者は歯医者でいろんなことを考えてやっています。どうかそのことをご理解いただければと思います。

上記のような書き込みがされるのは恐らく歯医者側の説明不足や信頼関係の欠如によるものでしょう。きちんと説明をして信頼される歯医者でありたいと思います。