歯の痛みは大きく分けて3種類あります。
それぞれPul(プル)、Per(ペル)、P急発(ピーきゅうはつ)といいます。
(大雑把すぎて詳しい話になると間違いもあります)
◎Pul
Pulでは歯の中の神経が痛みを出します。いわゆる虫歯の痛みです。虫歯が大きくなって歯の中の神経に虫歯菌が感染すると神経が炎症を起こします。この場合、痛みを抑える方法は神経を取ることです。
しかし痛みが出ているときは麻酔の薬が分解されやすく、麻酔が効きづらいことが多いので、すごく痛い思いをして神経を取ることになることもあります。
虫歯があるなと思ったら痛みが出るまで放っておかず、すぐに治療するのが得策です。
◎Per
Perは、神経を取った後の歯や神経が死んでしまっている歯に起きます。神経を取ったあと歯の中に空洞ができますが、その空洞で細菌が繁殖すると歯の根の先端に炎症が起きます。歯の外側が痛むわけです。厳密には歯の痛みではないのです。
これは虫歯による痛みとはまったく別物です。神経を取ってある歯は、虫歯ができても痛みはおきません。
治療法は、神経が通っていた管の中の細菌を除去することで徐々に痛みが治まります。1回の治療で痛みが引くことがありますが、痛みが持続したり、逆に痛みが強くなることもあります。
◎P急発
歯周病の急性発作の略で、簡単に言うと歯ぐきの痛みです。ですから厳密に言うと歯の痛みではありません。歯ぐきが腫れて痛みを出しています。歯が痛いと来院する方の多くがこの歯ぐきの痛みです。
神経の痛みは神経を取ればある程度治まりますが、歯ぐきを切って取ってしまうわけにはいきません。
治療法は歯垢を除去して、薬で抑えるしかありません。ですから歯医者に行って1回で痛みを取ってもらうというより、薬でなんとかすることになります。
以上のように「歯が痛い」と思っても、それが虫歯の痛みでなければ、麻酔して神経取ればすぐに痛みは治まるわけではないのです。
こんなことを言ってしまうと全国の歯医者さんに怒られてしまうかもしれませんが。。。
歯医者に行き始めるのは月初めがいいか、月末がいいかご存知ですか?
実は月初めに行くのがお得なんです!
そのわけは…
歯医者でかかる金額の内訳の中には、月に何回と決まった回数かかるものがいくつかあります。
例えば治療の計画を立てて管理しながらやっていきますよという管理料のようなものは月1回300円、
入れ歯を調整したり、入れ歯の清掃などの話をすることにかかるものは月に1回で300円程度、
専用の器具で歯の掃除をすることにかかるものは2ヶ月に1回で240円などなど。
月末に歯医者に行くと、初回に1回その代金がかかり、次の回が翌月になったら、またその代金がかかるんです。月初めに行けば、その月以内に治療が終われば管理料が2回かかることはありません。
ですから歯医者に行き始めるなら月初めがお得です!
でも大抵は痛みがあったり、詰め物が取れたりと緊急で行くことが多いでしょうから、そのときは次の月を待たずに歯医者さんに行ってください!
歯医者に通院すると、何回も何回も通わなければならないことがあります。通うのに疲れてくるとある疑問が浮かぶことでしょう。
「なんで1回の予約でたくさん進めてくれないんだろう?もしかして何回も通わせて再診料とかを儲けようとしているのでは?」と。
私は「一般的には長引かせれば長引かせるほど歯医者の儲けは少なくなる」と考えています。
なぜでしょうか?
まず、一日の治療枠がすべて埋まっている歯科医院にとっては、1回でたくさん治療すればその回にいただく料金は高くなりますし、その患者さんは早く治療が終わるかもしれませんが、次々に新患の方が来るので予約に空きが出るわけではないので、結果儲けは多くなります。
ただし、あまり患者さんの数が多くない歯科医院にとっては、早く終わらせれば終わらせるほど再診料や月々にかかる管理料などの代金が入らなくなるため、1ヶ月に1回だけ予約をわざと取る戦略も考えられますが、再診料や管理料などは治療に関わる保険点数に比べてかなり低いため、実際にそんなことをやっている歯科医院は聞いたことがありません。
では、なぜ長引いてしまうのでしょうか?なぜ1回の予約を基本60分取って、たくさんの歯の治療を進めないのでしょうか?
理由1.キャンセルリスクを軽減させる
どんなに真面目に通っていただける患者さんでも、ときには忘れてしまったり、あるいは急病で来られなくなってしまう可能性はゼロではありません。そんな中で全員60分の枠で取っていると、当日キャンセルや無断キャンセルになった際の経営的なリスクが高くなってしまいます。キャンセル料をもらえる職種ではないため、そのような対応になってしまいます。
理由2.1回で終われない治療がある
小さい虫歯なら削ったその日のうちにコンポジットレジンという白いプラスチックを詰めて終わりにできますが、型取りをして詰め物を作ってそれを入れる場合、多くの場合で2回以上の回数がかかります。その日のうちに白い詰め物を作って入れてしまう方法もありますが保険適応外です(当院では導入しておりません)。また、歯の中の神経を取るような大きさの虫歯であれば、その歯だけで4~5回の段階を踏んだ治療をしていくこともあります。
理由3.口の中の環境を大幅に変更したくない
複数本の歯を削って詰めると、噛み合わせの状態がかなり変わります。一度治療したら噛み合わせの感覚に異常が出ないか、痛みが出ないかなどを確認してから次の治療に入りたい場合があります。
このように歯医者側も理由があって治療回数がかかってしまうことがあるので、ご理解いただければと思います。
銀歯を入れた後なのに歯がしみる。そんな経験されたことはありませんか?
「虫歯が残っているんじゃないかな?」
と思う方が多いのですが、無理はありません。治療したあとなのにしみるわけですから。
ただ、銀歯を入れた後に歯がしみるのは、虫歯を取り残しているからではありません。
虫歯を取り残しているから痛いのだとしたらもともと虫歯を削る前に虫歯があったわけで、しみたり痛かったはずです。虫歯は痛みなく進行していくため気づいていない方が多いぐらいのものなので、虫歯が存在する=痛むというのは必ずしも成り立ちません。
歯の痛みはいろいろなタイプがあります。歯が痛いからといって絶対に虫歯があるとは限らないのです。
今回の銀歯を入れた後にしみる原因は「歯の構造」にあります。
上記のイラストをご覧ください。真ん中の歯は断面図になっていて、銀歯を入れるために削られた状態です。
歯の一番外側の白い部分、ここは「エナメル質」といって、「歯の殻」のようなものです。
その中の黒い線がたくさん書いてあるクリーム色の部分は「象牙質」といって、黒い線は無数の目に見えないほど細い管で、赤い「神経」の部分まで通っています。
以上が歯の構造の説明です。
ここからが本題で、なぜ銀歯を入れた後に歯がしみるのか、です。
銀歯が入ってない健康な歯は、象牙質がエナメル質で覆われています。
この歯をひとたび削ると、エナメル質がなくなり、象牙質が露出します。象牙質には神経まで繋がっている無数の管がありますので、その管を通して神経まで冷たい水などの刺激が伝わってしまうのです。これがしみる原因です。
でも銀歯を入れたら象牙質が覆われるからしみなくなりそうですよね。
それがそうでもないんです。
金属は熱の伝導性が高い、つまり熱を伝えやすいので、冷たい刺激や熱い刺激を象牙質まで伝えてしまうのです。
象牙質まで刺激が伝われば、あとは管を通して神経まで伝わって、それでしみる。というわけです。
つまり、「銀歯を入れた『のに』歯がしみる」ではなく、「銀歯を入れた『から』歯がしみる」なんです。
といっても、一生しみるわけではありません。刺激に対して、神経の部分にバリアのようなものができてしみなくなってきます。しみなくなるまで1ヶ月、長くて2~3ヶ月かかることがあります。
ですから、「銀歯を入れたのに歯がしみる…ヤブ医者かな…歯医者変えようかな」と、すぐに違う歯医者に行かないで、ちょっとだけ歯医者さんを信じて待ってみてください。でも、半年とか1年経ってもまだしみるなら、虫歯が深かったことで神経がやられてしまっている可能性がありますので、一度相談してみましょう。
歯を削るとき、水が出てますよね?あれなんのためなんでしょう?
水が大量に出てお口に溜まるので、バキュームというもので吸います。
僕も「すいません、吸います」とか言ってしまいますが、どっちだよって話ですよね。
…さて本題です。
あの水はなんのために出ているのかというと、歯を削る際に出る摩擦熱を冷やすためです。
あのウィーーンという甲高い音を出して歯を削る器具を「タービン」といいます。
タービンに歯を削るドリルをつけて、超高速で回転させることで歯を削ります。1分間に何十万回転します。
超高速で硬いものと硬いものがこすれ合うわけですから、すごい摩擦熱が出るわけです。その熱をほったらかしにすると歯の神経に熱が伝わり、神経が強い炎症を起こし痛みが出てしまいます。
そうならないように水をかけて冷やしているわけです。
というのが答えです。
「歯医者で溺れ死ぬかと思った」みたいなSNSの投稿を見ることがありますが、溺れさせようと思ってやっているわけじゃないんです。
申し訳ないですが理由がありますのでちょっとだけ我慢していただいて、どうしても我慢できなかったらすぐに手を挙げていただきうがいをしてください。