「お任せ」されても困ります 荒井歯科医院(飯能市・日高市・入間市)
「お任せします」 こうおっしゃる患者さんは少なくありません。
信頼の証?かもしれませんが、実はそう言われても私としては困ってしまいます。
この「お任せします」にはいくつか省略されている言葉があります。
「(歯のことはよく分からないから)お任せします(けど、私が考えうる範囲の治療をお願いします)」
が全文です。
歯のことはよく分からない、確かにその通りだと思います。一般の方には分からない部分はかなりあるでしょう。
分からないから任せる、その思考の流れは一見間違っていません。
しかし、歯の治療が1種類しかないのであればお任せしていただいてもいいのですが、
同じ虫歯の治療でも、削ってその日に白い詰め物をしたり、型取りして次の回に銀歯を入れたり、神経を取る必要があるかもしれないし、抜く必要があるかもしれません。
抜いた後の治療も、入れ歯やブリッジ、インプラントや移植など、治療法はさまざまです。
「最善の方法でお願いします」とおっしゃる方も多いのですが、実は誰にとっても最善という治療は存在しません。
なぜなら、お金がかかってもしっかり治したいという方もいれば、忙しいからとりあえず痛くなくなればいいという方もいるし、人それぞれ環境や考え方が全く違うからです。
インプラントは歯が抜けた後の治療としてはかなりいい治療ですが、費用が高い、手術が必要など、デメリットもたくさんあります。
手術が怖いという方、予算がないという方にとってインプラントは最善の治療ではありません。
歯のことはよく分からない、であれば分かるまで私たちが専門用語抜きでご説明をします。
実はちゃんと聞いていただければ、簡単に分かることばかりなのです。
ですから、聞く姿勢をもって荒井歯科医院にいらしていただきたいのです。
(けど、私が考えうる範囲の治療をお願いします)の部分に関してはなにがいいたいかというと、
例えば歯を抜いた後、「お任せします」と言ったとして、歯医者が何も言わずにインプラントの治療をし、気付いたら30万円請求されたとします。
誰もが怒ってクレームになると思います。下手したら訴訟ものです。
でも「お任せします」と言ってしまっているわけで、歯医者は自分が最善と思う治療をしたまで、なんの罪もありません。
つまり「お任せします」のあとには、(けど、私が考えうる範囲の治療をお願いしたいから、なにかあったらクレームつけますよ)という言葉が暗に込められているわけです。
これでは双方にとってよくありません。
予想外の結果に終わらないためにも、歯医者の説明はしっかり聞く、説明がないのであれば自分から分からないことを聞くことが肝心です。
しっかりと相談した上で、あなたにとって最善の方法を一緒に考え、その上で治療に入っていきましょう。