歯周病治療の基本的な流れをご説明いたします。
1.検査
歯周病がどれぐらい進んでいるかがわからなければ治療をすることはできません。レントゲン検査や口腔内写真検査、歯周ポケット検査を行ないます。
歯周ポケット検査とは、歯と歯ぐきの境い目にある溝の深さを測る検査です。歯の周りには健康な状態でも1~3mmの深さの溝があり歯周ポケット(正確には歯肉溝)といいます。歯周病が進むとこの深さが4mm以上になったり、溝の中から出血するようになります。
2.歯みがきレッスン
歯周病を起こすのはバイ菌です。そのバイ菌は「歯垢」の中にいます。「歯垢」はバイ菌のカタマリです。食べかすではありません。
「歯垢」は毎日たまりますので、ご自分で歯みがきで落とす必要があります。「歯垢」を落とすことが歯みがきの目的です。
歯みがきもただ漫然とやっていればいいわけではありません。テキトーにやって歯垢を磨き残すと、歯周病は進みます。「磨いている」のでは不十分で「磨けている」必要があります。
自己流では磨き残しが多く残ることがありますので、歯垢を落とせる磨き方を衛生士と一緒に練習していただきます。
歯みがきもさまざまなお稽古事と同じで、1回でマスターできるものではありません。
できるようになるまでレッスンを続けます。もちろん歯みがきだけを何回もやるわけではなく、歯石取りなども並行して行なっていきます。
3.見えている歯石の除去
歯石には歯ぐきの上に見えている歯石と、歯周ポケットの中に隠れている歯石の2種類があります。
まずは見えている歯石を取ります。
4.検査2回目
歯石を取ったり、適切な磨き方でよく磨いていただくと、歯周病がよくなり、歯周ポケットが浅くなっていきます。どれぐらい浅くなったかを再度検査することで確認します。歯石を取ってから3週間~1ヶ月あけます。治っていないところは次の治療の段階に進みます。
5.隠れている歯石の除去
歯周ポケットの中に隠れている歯石を取ります。時間をかけて行なうため、1回に4~6本の歯しかできません。最大で6回かけてお口全体の歯石を取ります。
6.検査3回目
歯石を全てとったあと、再度検査をします。2回目と同様に5.の段階から3週間~1ヶ月あけて行ないます。治っていない部分は次の治療の段階に進みます。
7.歯周外科手術
治りの悪い部分に関しては、歯ぐきを切る手術をすることがあります。手術といっても外来で行い、虫歯の治療に使うのと同じ部分麻酔で、時間も1時間程度で終わります。
歯ぐきを切ると聞いただけでぞっとすると思いますが、麻酔が効いていればまったく痛くありません。
8.メンテナンス(定期クリーニング)
せっかく治っても、歯周病は油断すると必ず再発します。3~4ヶ月に1回、定期的にクリーニングをすることで再発を予防します。
<まとめ>
長くなりましたが、簡単に言うと、
検査→歯みがきと簡単な掃除→(3週間)→再検査→丁寧な掃除→(3週間)→再々検査→手術→定期検診
ということになります。期間や回数は人それぞれで違いますが、平均で2~3ヶ月で治療は完了します。すべて保険が効く治療ですので、金額もそこまで高くはなりません。
歯周病は痛みなく末期まで進んでいくことが多いです。歯周病はsilent disease、静かなる病気です。痛みがなくとも、歯ぐきが赤いとか、歯ぐきから血が出るとかの症状があれば一度検査だけでもやってみる価値はあると思います。
検査だけご希望であれば、初診料と検査料合わせて1200円ほどでできます。
ぜひ一度ご相談ください。
http://www.araident.com/
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